日本フォーカシング協会

日本フォーカシング協会の成り立ちからこれまで:発足20周年を迎えて(2017年)

日本フォーカシング協会発足以前の日本におけるフォーカシング

1966年,のちに協会初代会長となった村瀬孝雄氏の訳によりジェンドリンの論文集『体験過程と心理療法』が発刊された。
ジェンドリンは,1978年九州大学で開催された第42回日本心理学会大会の特別講演者として初来日し,福岡,京都,東京でワークショップを行った。
この1978年を協会第2代会長の村山正治氏は「フォーカシング元年と言っていいほど日本のフォーカシングにとって決定的な年」と述べている(協会ニュースレター第2巻第1号会長挨拶より)。

1982年には,ジェンドリンの『フォーカシング』が村山正治・都留晴夫・村瀬孝雄訳で出版され,1983年,のちに発足する協会の主要母体となる日本フォーカシング研究会ができた。
1987年にはジェンドリンがメアリー・ヘンドリクスと共に再来日し日本フォーカシング研究会主催のワークショップを東京で行なっている。これを記録したものが『フォーカシング・セミナー』として1991年村山正治編で出版された。

アン・ワイザー・コーネル(『やさしいフォーカシング:自分でできるこころの処方』など)やエルフィー・ヒンターコプフ(『いのちとこころのカウンセリング:体験的フォーカシング法』)も来日し,日本の著者によるフォーカシングの本や訳書が出版され,日本各地にたくさんのフォーカシングのグループができた。
しかし、それぞれ単独で活動していて、お互いがやっていることをあまり知らず、横のつながりはなかった。

日本フォーカシング協会発足

そこで,緩やかにつながる全国的なネットワークを作ろうという機運が高まり,日本フォーカシング研究会と全国各地にある大小のフォーカシング・コミュニティが母体となり,1997年9月15日東京の学士会館で設立総会が開かれ,日本フォーカシング協会が発足した。

発足にあたっては、数十名の発起人が活動資金を提供、その後賛同者が加わり、最終的には118名によって初期の協会の活動が支えられた。
この方々はコアメンバーと呼ばれ,地域ごとに持ち回りで各地の活動を知らせるニュースレターを発行したり、会合を開催したり、協会のウェブサイトを運営したりした。
自分たちのための活動として行なっているので、全て無償のボランティアである。

2006年組織体制の転換

こうしてコアメンバーによって活動が担われていた協会だったが、協会にはニュースレターの購読を求めて大勢の人が入会していた。
時を経るにつれ,協会はコアメンバーと購読会員を合わせて1000人を超える大所帯になった。このような2層の組織で活動していくことが難しくなり、2006年誰もが協会の目的に賛同し活動を担う単一のメンバー制となった。
そして,活動を担うグループが作られ,ニュースレターの発行も地域ごとのグループが持ち回りで発行する方式からニュースレター編集グループが担う形へと変わった。

協会の発展:集いの開催地

協会では発足時より、集いと呼ばれる会合を年1回開催し続けてきた(年次大会)。
初めのうちは大阪で開催され,その後全国に広がっていった。

開催年  地区     場所
1998年 近畿     大阪府・南港
1999年 近畿     大阪府・南港
2000年 近畿     大阪府・南港
2001年 九州     大分県・湯布院
2002年 関東     東京都・中野
2003年 中部     愛知県・師崎
2004年 中部     長野県・中軽井沢
2005年 北海道・東北 北海道・小樽
2006年 中国     島根県・松江*
2007年 関東     東京都・吉祥寺
2008年 近畿     兵庫県・淡路島
(2009年 淡路島フォーカシング国際会議)
2010年 九州     福岡県・福岡
2011年 四国     徳島県・徳島
2012年 北海道・東北 北海道・札幌
2013年 中部     長野県・戸隠
2014年 中部     愛知県・名古屋
2015年 近畿     京都府・京都
2016年 北海道・東北 福島県・いわき
(2017年 神戸市にてアジア・フォーカシング国際会議)
2018年 中部     新潟県新潟市
2019年 中国     島根県松江市予定

*:第1回フォーカサーの集い(それまではコアメンバーの集いだった)

集いを開催するには、それを実行できるだけの安定したフォーカシング・コミュニティが必要となる。
集いの開催地が全国に広がったということは、それだけ各地にその地域のフォーカシングの中心になるようなフォーカシング・コミュニティが広がっていったことを示すだろう。
また,2016年いわきのように,その地で役立てていただくことを願い,その地のフォーカサーと別の地域のコミュニティが協働する形で開催する試みも始まっている。

2017年、協会発足20周年を迎えて

このように、協会は、集い開催、ニュースレターの発行、ワークショップ情報の提供、海外の情報提供や翻訳促進、ウェブサイトの運営などを、メンバーの自発的な関与と熱意により、行なってきた。
協会が20周年を迎えられたのは、メンバーたちの賛同によるものだが、活動を継続してこられたのは、無償のボランティアでニュースレターの発行や国際交流グループ・教育研修グループの実務に関わった多くの人々のご尽力による。

協会の初代会長であった村瀬孝雄氏は協会ニュースレターの第1巻第1号に次のように書いている。

「同じような体験と願いを持つ人々が互いに交流し合い,支え合い,そして良い意味で刺激し合える共通の場が持てることはなかなかに得難いことではないでしょうか。みんなで力を合わせ,この芽を出したばかりの瑞々しいフォーカシングの木を,優しく大切に育てていきたいものです」

発足から20年経っても、得難い場であることには変わりがないだろう。
現在も変わらず発足時と同様、協会の事務局や運営委員、グループ活動等全て無償で担われている。職業として行なっているわけではないので、メンバーの方々にもメンバーではない方々にも、対応の遅延や限界等があることをご理解いただければ幸いである。
これからも、それぞれの立場や違いを認め、敬意をもち、ゆるやかにつながり、メンバーそれぞれが持てる力を発揮し、力を合わせて、協会は、その目的にあるようにフォーカシングを楽しみ役立て広めていくだろう。

(資料協力:竹田悦子氏、
参照資料:大澤美枝子氏編「日本のフォーカシング」協会ニュースレター第20巻第2号、
協会ニュースレター第20巻第4号(2018年2月20日発行)掲載記事を元に作成)